9月の主題 「0才のびのびと」「1・2才きこえる」「3~5才のびやかに」
聖書の言葉
「ほかの種は良い土地に落ち、生え出て、百倍の実を結んだ」ルカによる福音書8章8節
この聖書の箇所、よく子ども達にお話しするところです。
昔、小学生とこの場面を一緒に読んでいた時のことを思い出します。ある子が描いていた絵が印象的でした。
お百姓さんが種を撒いて、ふと後ろを振り向くと、蒔いた種がどっさり実ってびっくりしている絵でした。
8月に母校に行く機会がありました。私がいた50年前の面影は一つもなく、全く別の大学になっていました。
しかし、暫くいて学長と話をしていると、根底に流れている思想や理念は同じでした。
その始まりは133年前にアニー・ランドルフという女性宣教師がたった3名の学生に蒔いた小さな種でした。
それが中学・高校・大学・大学院を擁する教育の場となりました。
明治以降、多くの宣教師達が特に女子教育や幼児教育に使命を感じて教育の場を作ったのでした。
例えば「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」のクラーク博士は今の北海道大学の前身の札幌農学校で教鞭をとりました。
着任期間は8か月だったそうですが、信仰とその教えを受けた8名の学生からバトンが受け継がれ、
内村鑑三、新渡戸稲造、その教えを受けた教育基本法の制定に携わった南原繁、東京大学の総長になった矢内原忠雄、
そして身近なところでは愛農学園高校を設立する小谷純一、そのほか枚挙にいとまがないほど、
日本の教育に影響を与えた多くの人たちに繋がっていきます。
教育基本法には「日本国憲法の精神にのっとり…」とあり、
「教育の目的は人格の形成(一人一人がその人自身となっていくことを保障すること)、
そして平和に貢献できる社会人の育成(自分勝手に生きるのではなく平和な社会を作っていく)」とあります。
これがどれほど私たちの教育を守って来たかと思います。
その精神を受け継いだ人達が各地で確かな教育現場を守っている姿を見ます。
その目に見えない繫がりは壮大で、最初に種を撒いた人は予想だにしない姿です。
その人たちが後ろを振り返って本当にびっくりしていることでしょう。
そのようなことをこの8月にしみじみと感じ、不思議な神様の業を感じたのでした。
と同時に初めに種を撒いた人の信仰と使命感と献身に心打たれています。
良い土地とはよく耕された心、蒔かれた種とは愛といういのちの種です。
私達にも子ども達にもこの種を撒いていただき、私たちの内で芽ばえ育って豊かな実を結ぶ者としていただきましょう。
恵は充分です。